グレート・マザーを理解すると、子育ての大きなヒントになります。子どもがなぜか、母親である自分のことを「オニババ」などと言ってきて凹んだことがある方は、ぜひ読んでみてください!
グレート・マザーとは、人類のこころの中にある母なるもののイメージ
ユング心理学のグレート・マザー(太母)とは、実際の母親のことではなく、人類のこころの中にある母なるもののイメージです。
神話や昔話に出てくるやさしい女神、恐ろしい魔女は、人のこころにあるグレート・マザーをわかりやすく物語化したものです。
グレート・マザーは、やさしさと恐ろしさの二面性をもっている
グレート・マザーは、あらゆるものを育てる母なるもののイメージというやさしさの象徴です。
いっぽう、グレート・マザーはその偉大な力を持て余してあらゆるものを呑み込む恐ろしい性質も持っています。
子どもが荒れている?じつは内なるグレート・マザーと対決しているのかも
子育てをしていると、誰でも子どもから「オニババ」とか「クソばばぁ」と呼ばれて、悲しい想いをしたことがあるのではないでしょうか。私は今5歳の息子がいますが、まさに少し前まで反抗期で、毎日「このクソばばぁ」や、「バカなんじゃないのっ!」と言われてショックを受けていました。。。
子どもは、母親にグレート・マザーの恐ろしさを投影してしまう
子どもが母親に対して、汚い言葉で悪口を言ってくるとき、母親にグレート・マザーの恐ろしさを投影しています。投影とは、色付きメガネのようなもので、母親は本当は鬼ではないのに、子どもは母親に鬼のイメージを重ねてしまうのです。
子どもは、発達の段階で本物の母親から離れて自立しなければなりません。そのためには、いつまでも甘えんぼでいるわけにはいかず、適切な時期になると母親が恐ろしいグレート・マザーに見えてくるのです。そして、内なるグレート・マザーと対決する=反抗期を迎えて少しずつ自立し、こころが成長していきます。
母親自身も、自分の中のグレート・マザーに気をつけよう
母親の中にも、やさしさと恐ろしさ、二面性を持ったグレート・マザーの気質があります。自分の中のグレート・マザー的な「子どもを支配したい、言うことを聞かせたい」という思いがムクムクと立ちあらわれることがあると思います。
そんなときは、「あ、またやっちゃった!」と気づくことが大切です。
グレート・マザーはユングが考えた元型(アーキタイプ)のひとつ
グレート・マザーは、心理学者のユングが考えたことばです。
ユングは、人が誰からも教えられていないのに、こころに発生する人類共通のイメージを元型(アーキタイプ)と名付けました。グレート・マザーも元型のひとつです。
グレート・マザーは、起きているときにふだんは意識できない「無意識」の層で眠っています。しかし、人生の必要な時期になるとグレート・マザーが動き出し、いろいろな作用をするとユングは考えました。
元型の解説はこちら
-
ユング心理学の元型(アーキタイプ)とは?子育てに活かす方法も紹介!
続きを見る
子どもの絵に出てくるグレート・マザーとは?実例で紹介!
子どもの絵には、グレート・マザーの象徴が出てくることがあります。
実際、私の息子が描いた絵を参考に紹介しますね!
グレート・マザーの象徴:謎の渦巻き
グレート・マザーは、子どもの絵や夢に、渦巻きとして出てくることがあります。
ちょうど、息子は4歳の反抗期で、毎日暴言を吐いていました。こちらの絵も、色が赤と黒を使っていて、アートセラピー的にも「怒りの絵」となっています。こころの中で、グレート・マザーと戦って、成長しようとしていたんだなぁと思います。
グレート・マザーの象徴:恐ろしいおばけ、サメなど
グレート・マザーは、子どもの絵や夢に、恐ろしいおばけや、狂暴な動物(サメ、恐竜など)としてあらわれることがあります。
アートセラピー的な見方をすると、線の書きかたも雑で、ものすごい怒りがこめられていそうです。
まとめ
ユング心理学のグレート・マザー(太母)とは、実際の母親のことではなく、人類のこころの中にある母なるもののイメージです。
グレート・マザーは、あらゆるものを育てる母なるもののイメージというやさしさの象徴とその偉大な力を持て余してあらゆるものを呑み込む恐ろしい性質という二面性が特徴です。
子どもが荒れていて大変なときは、「内なるグレート・マザーと戦っているんだな、成長しようとしているんだな」と受け止めてあげましょう(大変ですけど…ね!)