この記事では次のことがわかります!
- ユング心理学の「マザー・コンプレックス」の意味がわかる!
- 自分自身の母親への葛藤が理解できる!
- ネガティブなマザー・コンプレックスが生まれる原因がわかる!
マザコンとは、マザー・コンプレックスの略
マザー・コンプレックスの一般的な意味は、母親に対する過度な愛着のこと
マザー・コンプレックスの一般的な意味
マザコンとはマザー・コンプレックスの略で、一般的には母親に対する過度な愛着や、執着をさすネガティブなイメージが多いです。恋人に母親のようなものを求めたり、母親のような人を好きになることもマザコンと言われることが多いです。
一般的なマザコンの意味に近いエディプス・コンプレックスとは?
心理学用語で、一般的なマザコンの意味に近いのは、フロイトが提唱したエディプス・コンプレックスです。
エディプス・コンプレックスとは?
5歳ごろの男の子にある発達傾向で、母親に対して強い愛着を向け、父親に変わりたいと思う願望のこと。エディプス・コンプレックスは次の3ステップで作られると考えられています。
- 母親を独占しようとする
- 父親のことを競争相手とみなす
- ふたつの感情の間で葛藤し、罪悪感を抱く
ユング心理学では、マザー・コンプレックスはポジティブとネガティブな場合があると考える
ユング心理学のマザー・コンプレックスとは「心の中にある母親のイメージ」のことを指し、一般的なマザー・コンプレックスとは少し違う概念です。
もともとコンプレックスとは「劣等感」の意味ではなく、「心の中にある感情を中心としたイメージや記憶」のことを指します。
ユング心理学のマザー・コンプレックスのポイント
- ポジティブな感情体験が多い→コンプレックスもポジティブなものになる
- ネガティブな感情体験が多い→コンプレックスもネガティブなものになる
コンプレックスがポジティブな場合、自己肯定感が高いケースが多い
ポジティブなマザー・コンプレックスを持っている人は、「自分は受け入れられている」という感覚が自分の中にあります。自己肯定感が高く、心理的に安定していることが多いです。
母親という立場は、伝統的に子どもを愛し、受け入れ、安全を守り育てる役割を担う時期が長くありました。マザー・コンプレックスがポジティブな場合、そのような関係を実際の母親や養育者との間でつくることができたということを示しています。
コンプレックスがネガティブな場合、自分の存在基盤が不安定なことが多い
ネガティブなマザー・コンプレックスを持っている人は、「どんなに評価されても自信が持てない」など、自己肯定感が低く不安定なことが多いです。
実際の母親や養育者との関係が複雑で良好ではないとき、マザー・コンプレックスはネガティブなものになっていきます。ネガティブな性質のマザー・コンプレックスを持っていると、「自分はみんなから否定されている」と感じやすいところがあります。
母親との葛藤は、子どもの心にある母親のイメージとのズレで引き起こされる
それでは、なぜネガティブなマザー・コンプレックスとして、母親との葛藤が生じるのでしょうか?
子どもの心にある、人類の間で受け継がれてきた母親のイメージを「母親元型」といいます。
母親元型とは?
「母とはこういうもの」という人類の間で受け継がれてきたイメージや感情のこと。実際の母親との経験に基づいた感情ではない。
性別によるマザー・コンプレックスのちがいとは?
子どもが男の子の場合、心の中に住む異性のモデルになりやすい
ユング心理学では、男性には「アニマ」という「男性の中にある女性的な部分」があると考えます。
「アニマ」は異性を好きになるときの、「理想のタイプ」のようなものです。本当は男性自身の中に女性的な部分があるのですが、それを女性の中に見つけることで、男性は女性を好きになるのです。
その「アニマ」に影響を与えやすいのが、男性にとっての実際の母親です。
子どもが女の子の場合、ロールモデル的な意味合いも出てくる
子どもが女の子の場合、同性である母親に対して子どもにとってのロールモデル的な意味合いが出てきます。
ロールモデルは良いお手本を指すわけではなく、親が半面教師となって「ああはなりたくない」と思うことも、実は影響を受けているのです。
まとめ
マザコンとはマザー・コンプレックスの略で、一般的には母親に対する過度な愛着や、執着をさすネガティブなイメージが多いです。
いっぽう、ユング心理学のマザー・コンプレックスとは「心の中にある母親のイメージ」のことを指し、ポジティブなコンプレックスとネガティブなコンプレックスがあるととらえます。
ポイント
- コンプレックスがポジティブな場合、自己肯定感が高いケースが多い
- コンプレックスがネガティブな場合、自分の存在基盤が不安定なことが多い
- ポジティブかネガティブかは、子どもの中にある「母親のイメージ」とのズレで決まる
自分の母親に対するイメージと、実際の母親とのイメージのズレに気づき、受け入れていくことが、人生の課題になることが多いです。