この記事では次のことがわかります!
- ユング心理学に詳しくない人でも「自己実現」の意味がわかる!
- 働くママにとっての「自己実現」の考え方が変わり、楽になる!
自己実現とは、自分の嫌な部分に直面し本来の自分になっていく努力の過程
ユング心理学で「自己実現」とは、人生の究極の目的で「自己(セルフ」という1ランク上の心理状態になっていくことをさしています。そのためには、自分の嫌な部分に直面し、本来の自分になっていく努力の過程が必要だとユングは考えました。
ユングの言う自己実現は、自動的におこることではなく、自覚的な努力が必要なところがポイントです。また、自己実現に目標点はなく、つねに発展を続けるものであり、その過程を重要視します。
ユングは自己実現をたどる道を「個性化の過程」とも呼んでいます。
その時に意識したいのが「自己(セルフ)」です。
自己実現のポイントは、自己(セルフ)を意識化していくこと
ユング心理学における自己(セルフ)とは心全体の中心であり、自己実現の動きの中心になるものです。
ユング心理学では、心の中には意識と無意識というものがあると考えます。
意識:起きているときに、自覚的に意識している部分
無意識:寝ているときや、ふだんの自分が意識していない部分
その中で、意識の中心を「自我」、意識と無意識を含めた心全体の中心を「自己(セルフ」とユングは名付けました。
自我と自己のちがいとは?
自我:意識の中心で、外界への適応をおこなう。自分の人格だと思っている部分。人生の前半では自我の確立が、その人の課題になっていることが多い。
自己(セルフ):意識と無意識をふくんだ心全体の中心で、ふだん意識していないことも含んでいる。人生の後半では、自己の確立がその人の課題になってくることが多い。
この「自己(セルフ)」に気づき、自我とバランスをとりながら人格を発展させていくことが、自己実現なのです。
自己実現は周囲と関わりながら進む
ユング心理学では、心のバランスを大切にします。自己実現の過程では、意識と無意識のバランスをとっていくことが重要なのです。
意識が一面的な態度にあるとき、無意識は意識に対して「偏りすぎているよ!」と教えてくれます。それが一番わかりやすいかたちであらわれるのが夢です。そのため、ユング心理学では夢分析から無意識にある自分の心を読み解いていきます。
夢分析とは?
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またユングは、「自我」は「自己(セルフ)」に飲み込まれないように主体的に働き、独立した存在であり続けることが必要だと考えていました。自分の心の世界を探求しようと「自己(セルフ)」の働きばかりにとらわれていると、外界での適応ができなくなることもあります。
人生の後半は、人生の課題である「自己実現」の問題が強くなる時期
働くママは「自己実現」の問題で悩みやすい時期
ユング心理学では、人生の前半は「自我」の確立が課題であるとされ、人生の後半には、前半に怠ってきた義務や欲求が問題になると言われています。働くママは、子どもが生まれると価値観がガラっと変わることもあり、「自己実現」の問題で悩みやすい時期でもあるのです。
「自我」を発展させることに注力しすぎていると、非合理的なものや劣等なものを無意識に押し込めることになります。強い「自我」がある人は、地位や財産を築くことができるかもしれません。しかし、あるとき、ふと地位や財産、仕事など自分が誇りとしてきたものの意味がわからなくなる時が来るのです。
「自己実現」の第一歩は自分自身の影の部分に向き合うことから始まる
自己実現の第一歩として、自分自身のシャドウ(影)と向き合うことが大切になってきます。
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まとめ
ユング心理学で自己実現とは「自分の嫌な部分に直面し本来の自分になっていく努力の過程」で、「個性化」の過程ともいわれています。
そのためには、ダメな部分・弱い部分も含めて自分なんだと受け入れていくことが必要です。
自分の弱い部分を受け入れていくことは、とても勇気のいることです。しかし、そこも含めて自分だと受け入れると、少し生きるのが楽になります。
働くママは、「理想の自分」を追いすぎるのではなく、ダメな部分も認めて「もっと大きな自分は何を求めているのか?」を感じてみましょう。それが、自己実現の第一歩です。