ユング心理学の自己実現の意味とは?

ユング心理学

働くママ必見!自己実現の本当の意味とは?ユング心理学の視点から解説

子どもが生まれてからも働いているんですが、本当の自己実現って難しいなって悩んでます。
自己実現って、どういう意味でとらえてますか?
chihiro
え、自己実現って夢を叶えることではないんですか?
現在はそういうように使われることが多いですよね。でも心理学者のユングがいう自己実現はちょっと違います。ユング心理学で自己実現とは「自分の嫌な部分に直面し本来の自分になっていく努力の過程」ととらえます。
chihiro
やりたいことをやるっていう意味ではないんですね💦
そうなんです。ユング心理学の自己実現の意味を知ると、少し生きる目線が変わってきますよ!
chihiro

この記事では次のことがわかります!

  • ユング心理学に詳しくない人でも「自己実現」の意味がわかる!
  • 働くママにとっての「自己実現」の考え方が変わり、楽になる!

自己実現とは、自分の嫌な部分に直面し本来の自分になっていく努力の過程

ユング心理学で「自己実現」とは、人生の究極の目的で「自己(セルフ」という1ランク上の心理状態になっていくことをさしています。そのためには、自分の嫌な部分に直面し、本来の自分になっていく努力の過程が必要だとユングは考えました。

よく言う「夢を叶える」のような、外側に向いた実現というよりは、自分の内側に向いた実現なんですね!
ユングのいう自己実現は、禅で言う「悟り」のような状態に近いのかなと思います。ただ、ユングは心の内側と外側の世界とのバランスを重要視していて、現実社会と向き合いながら生きていくことが大切だと説いています。そこが、理想はあれど現実的に働かなきゃいけない…という働くママにはしっくりくるんじゃないかなと感じます。
chihiro

ユングの言う自己実現は、自動的におこることではなく、自覚的な努力が必要なところがポイントです。また、自己実現に目標点はなく、つねに発展を続けるものであり、その過程を重要視します。

自己実現に終わりはないんですね!

ユングは自己実現をたどる道を「個性化の過程」とも呼んでいます。

自己実現とは、外側から新しい何かを付け加えることではなく、本来自分が持っていた大きな意味での自分に戻っていくことなんです。
chihiro

その時に意識したいのが「自己(セルフ)」です。

自己実現のポイントは、自己(セルフ)を意識化していくこと

ユング心理学における自己(セルフ)とは心全体の中心であり、自己実現の動きの中心になるものです。

ふだんの生活で「自己」とは、「自己中心的」「自己嫌悪」など自分自身を指す言葉として使いますよね。それとは違うんですか?
ユングのいう「自己」は自分自身ではあるのですが、もっと大きな可能性や未開発の部分も含めた自分自身というイメージです。
chihiro

ユング心理学では、心の中には意識と無意識というものがあると考えます。

意識:起きているときに、自覚的に意識している部分

無意識:寝ているときや、ふだんの自分が意識していない部分

その中で、意識の中心を「自我」意識と無意識を含めた心全体の中心を「自己(セルフ」とユングは名付けました。

ユング心理学の自我と自己

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自我と自己のちがいとは?

自我:意識の中心で、外界への適応をおこなう。自分の人格だと思っている部分。人生の前半では自我の確立が、その人の課題になっていることが多い。

自己(セルフ):意識と無意識をふくんだ心全体の中心で、ふだん意識していないことも含んでいる。人生の後半では、自己の確立がその人の課題になってくることが多い。

この「自己(セルフ)」に気づき、自我とバランスをとりながら人格を発展させていくことが、自己実現なのです。

働くママとして生きていると、どうやって世の中に適応して乗り切っていこうかという「自我」が強くなってしまいます。でも、自分の中には大いなる「自己(セルフ)」があることを意識することが大切なんですね。
chihiro

自己実現は周囲と関わりながら進む

ユング心理学では、心のバランスを大切にします。自己実現の過程では、意識と無意識のバランスをとっていくことが重要なのです。

意識が一面的な態度にあるとき、無意識は意識に対して「偏りすぎているよ!」と教えてくれます。それが一番わかりやすいかたちであらわれるのがです。そのため、ユング心理学では夢分析から無意識にある自分の心を読み解いていきます。

夢分析とは?

ユング心理学の夢分析とは?夢占いとどこがちがうの?

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またユングは、「自我」は「自己(セルフ)」に飲み込まれないように主体的に働き、独立した存在であり続けることが必要だと考えていました。自分の心の世界を探求しようと「自己(セルフ)」の働きばかりにとらわれていると、外界での適応ができなくなることもあります。

「自己」の働きばかりにとらわれるイメージとしては、平安時代の出家みたいなものかなと思います。出家は心の世界の探求をつづけるすごいことですが、現代は出家などして俗世から離れることは難しい時代ですよね。現実世界で働くママとして生きていくためには、「自我」と「自己」のバランスをとり続けることが大事なのだと思います。
chihiro

人生の後半は、人生の課題である「自己実現」の問題が強くなる時期

働くママは「自己実現」の問題で悩みやすい時期

ユング心理学では、人生の前半は「自我」の確立が課題であるとされ、人生の後半には、前半に怠ってきた義務や欲求が問題になると言われています。働くママは、子どもが生まれると価値観がガラっと変わることもあり、「自己実現」の問題で悩みやすい時期でもあるのです。

人生の前半で悩む「自我」は外界への適応的な自分でしたよね。若いうちは、どう社会に適応するかで悩むので、「自我」のことばかり考えがちです。
chihiro
確かに私も若いうちは、どう自分の立ち位置をつくるか…みたいなことばかり気にしてましたね💦
ところが、人生の後半になっても「自我」のことばかり考えていると、不安や悩みが出てくることが多いのです。
chihiro

「自我」を発展させることに注力しすぎていると、非合理的なものや劣等なものを無意識に押し込めることになります。強い「自我」がある人は、地位や財産を築くことができるかもしれません。しかし、あるとき、ふと地位や財産、仕事など自分が誇りとしてきたものの意味がわからなくなる時が来るのです。

私自身、「自我」がとても強く、仕事をがむしゃらにやってきた人でもあります。そんな中、子どもが生まれ「自我」だけでは思い通りに行かない生活になりました。でもそれは、「自己」を発見することでもありました。
chihiro
どんな部分を発見したんですか?
仕事での評価などの目に見えるかたちでしか、自分自身を評価できていないことに気づいたんです。子どもには「ありのままでいいんだよ」と言いながら、自分はまわりから評価されることばかり大切にしていたんですよね…。

「自己実現」の第一歩は自分自身の影の部分に向き合うことから始まる

自己実現の第一歩として、自分自身のシャドウ(影)と向き合うことが大切になってきます。

シャドウって何ですか?
シャドウとは、自分が押し込めて見ないことにしてきた、自分の劣等な部分のことです。私の場合でいうと、のんびりとしたマイペースな自分や、他人に怒ったりする自分や女性らしい部分がシャドウで、ずっと見ないことにしていました。
chihiro
自分の嫌なところをなおすのが、大切なんじゃないんですか?
嫌なところをなおすのではなく、「自分の中にそのような部分がある」と認めて、意識していくことが大切なんです!自己実現で大切なのは、ダメな部分・弱い部分も含めて自分なんだと受け入れていくことなんです。
chihiro

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「自己実現」というと、より自分にない高みを目指していくというイメージでしたが、自分を許すというイメージに近いんですね。
そうですね!でも、自分が拒絶していたものを受け入れ、許すというのはとてもしんどいことでもあります。そのしんどさと付き合いながら、より自分らしい自分になっていくことが自己実現なんだと思います!
chihiro

まとめ

ユング心理学で自己実現とは「自分の嫌な部分に直面し本来の自分になっていく努力の過程」で、「個性化」の過程ともいわれています。

そのためには、ダメな部分・弱い部分も含めて自分なんだと受け入れていくことが必要です。

自分の弱い部分を受け入れていくことは、とても勇気のいることです。しかし、そこも含めて自分だと受け入れると、少し生きるのが楽になります。

働くママは、「理想の自分」を追いすぎるのではなく、ダメな部分も認めて「もっと大きな自分は何を求めているのか?」を感じてみましょう。それが、自己実現の第一歩です。

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