この記事では次のことがわかります。
- 初心者でもユング心理学のシャドウの意味がわかる!
- 自分のシャドウを知り、家族関係をよくするヒントになる!
シャドウとは、自分の生きられなかった影の部分のこと
シャドウは、個人の意識によって生きられなかった半面の部分で、影の部分のことをあらわしています。
また、シャドウはいつも悪いものとはかぎりません。自分でも気づいていない未知の可能性をふくんでいることもあります。
ふだん、シャドウは無意識の世界におしやられていて、あまり意識の世界に出てくることはありません。しかし、シャドウを意識する簡単な方法があります。それは、身近な人の嫌なところを思い出してみることです。
家族の嫌なところ、許せないところは、自分のシャドウをあらわしている
シャドウに気づくには、家族の嫌なところを考えてみよう
誰しも、同じ家族でも嫌いなところや、「もっとこうしてくれたらいいのに」と感じることがある思います。シャドウに気づくためには、身近な家族の嫌いなところ、許せないところを思い出してみましょう。
- 思春期の娘が高圧的に話してくるのが嫌だ
- 夫が子どもに対して、頭ごなしに怒るのが嫌だ
- 子どもが外出したときに、大声で泣きわめくのが嫌だ
これらは、あなたの生きられなかった部分=シャドウなのです。シャドウの裏側には、あなたが普段起きているときに、「○○しなければならない」「○○してはいけない」と考える「意識的な自分」がいると考えられます。
- 思春期の娘が高圧的に話してくるのが嫌だ→意識的な自分「高圧的にしゃべるのはよくない」
- 夫が子どもに対して、頭ごなしに怒るのが嫌だ→意識的な自分「頭ごなしに怒るのはよくない」
- 子どもが外出したときに、大声で泣きわめくのが嫌だ→意識的な自分「人前で大声で泣くのはよくない」
意識的な自分が「○○はよくない」と考えていると、その部分が無意識の領域に押し込められて、シャドウとなるのです。
自分のシャドウを他人に重ねることを「投影」とよぶ
ユング心理学では、自分のシャドウを他人に重ねてみてしまうことを、シャドウの「投影」とよびます。シャドウの「投影」とは「シャドウを映し出すプロジェクター」みたいなものだと考えてください。
私たちは知らないうちに、「シャドウを映し出すプロジェクター」を通して相手のことを見て判断しています。その判断基準である「シャドウを映し出すプロジェクター」で見ているものは、実は自分自身をあらわしているのです。
シャドウには、家族関係をよくするヒントがある!
なぜ夫はあんな態度をとるのだろう、なぜ子どもは言うことを聞いてくれないのだろう…そんな風に感じることは、日常よくありますよね。
夫や子どもがとる嫌な態度は、あなたのシャドウです。つまり、自分自身がシャドウに気づくと、「これも自分の一部なんだな」と気づけるのです。
教育熱心な母親だと、勉強したくない子どもがあらわれる
ユング心理学では、ひとはバランスをとって関係を保っていると考えます。特に家族は、一番小規模な集団なので、誰かの役割が極端になると、別の誰かが反対方向でバランスをとろうとします。
たとえば、母親がものすごく教育熱心だとします。子どもが複数人いる場合、一人は母親のポジティブな投影を受けて、勉強熱心な子に育ちます。しかし、きょうだいで別の子が、勉強を嫌がったり、母親がやってほしくないことをやるようになります。
この場合、勉強をやらない子は、母親のシャドウなのです。母親自身が勉強をあまりやってこなかったことを後悔して、子どもに勉強熱心になっていることがあります。このときは子どもに目を向けるのではなく、自分自身のシャドウ=勉強をあまりやってこなかった自分と向き合うということが求められているのです。
家族の嫌なところを見つけたら、自分を見つめなおすチャンスととらえよう
家族に嫌なところが見つかったら、それが自分のシャドウです。今まで押し込めていたシャドウと向き合い、自分にもそういう部分があったんだと気づくことが大事です。
注意したいのは、シャドウがあるのは悪いことではないということです。
シャドウは、あなたのまだ未開発な部分でもあるので、新たな可能性ともとらえることができます。
シャドウは夢に、同性の友人として出てくることもある
シャドウは夢の中では、同性の友人として出てくることが多いそうです。他にも謎の黒い影や、悪い動物、泥棒、強盗、敵、悪魔、暗闇の月など、どこか薄暗いイメージで出てくることがあります。
もし、このようなイメージが出てきたら、自分のシャドウを見つめなおすチャンスです。その夢を味わい、夢からのメッセージを受け取ってみましょう。
まとめ
シャドウは、個人の意識によって生きられなかった半面の部分で、影の部分のことをあらわしています。
シャドウは自分以外の他人の嫌なところとして「投影」されて出てきます。また、夢では同性の友人として出てくることが多いです。
家族に対して「ああいうところが嫌なんだよな~」と思ったとしたら、それがあなたのシャドウです。自分にシャドウがあるということを認めてあげましょう。誰しもがシャドウを持っています。それを意識に取り入れて認め、人間の幅が広がっていくことをユングは目指していました。