この記事では次のことがわかります!
- 心理学に詳しくない人でも「シンクロニシティ」の意味がわかる!
- なぜユングが「シンクロニシティ」という考えを提唱したのかがわかる!
シンクロニシティ(共時性)とは、意味のある偶然の一致のこと
シンクロニシティとは、心理学者のユングが1930年に発表した言葉で、「意味のある偶然の一致」のことです。
シンクロニシティの例
- 友だちのころをふと考えていたら、その友だちから連絡が来た
- 友だちと絵の展示を見に行く夢を見たら、その友だちから絵の展示を見に行こうと本当に誘われた
ユングは自然現象には、「原因があり結果があるもの」と、「原因と結果が説明できないが、意味のある現象が同時におこる場合がある」という2つのケースがあるということに気づきました。多くのクライエントの心理療法を続ける中で、たびたびそういった場面に接し、「原因と結果が説明できないが、意味のある現象が同時におこる場合がある」ものをシンクロニシティと呼んだのです。
特にクライエントの症状が好転する時に、このようなシンクロニシティが起こったそうです。
シンクロニシティの視点から物事を見ると、あらたな見方をすることができます。
シンクロニシティで見るポイント
- 何と何が同時に起こったのか?
- それはどのような意味によってつながりがあるのか?
因果関係だけでものごとを理解する西洋の限界をユングは感じていた
ユング心理学は、「目的論的な心理学」と言われています。起こったものごと全ては、心の成長のために起こるべくして起こり、何かを学ぶためにいろいろなものが布置される、ととらえる心理学です。
これは、「原因論」の反対の心理学とも言えます。原因論とは、「何かのせいで、このようになった」というように、原因と結果でとらえようとすることです。
シンクロニシティという概念が生まれた背景は、東洋の文化との出会い
ユングがシンクロニシティという概念を見つけるきっかけになったひとつは、東洋の文化との出会いだと言われています。ユングは「東洋では自分の内と外は連動していて、自分が整うと、おのずと現実の状況も整うと考えられている」ととらえていて、原因と結果だけでものごとを判断しないことに関心を持っていました。
ユングが東洋の文化に出会うきっかけとなったのが、1920年のリヒャルト・ヴィルヘルムとの出会いでした。リヒャルト・ヴィルヘルムはキリスト教の伝道師で、布教のために中国に渡ったものの、中国の思想や宗教に関心を持ち25年間滞在を続け、のちに「易経」を訳してヨーロッパに広めた人です。
1920年ごろから、ユングは古代中国の占いである「易」を始めました。そこで、「易」の示すものと、心の状態がシンクロする感覚を得たのです。
シンクロニシティと量子力学の関係とは?
シンクロニシティという概念を見つけるきっかけのもう一つは、量子力学とユングの関係があげられます。ユングはオーストリアの物理学者ヴォルフガング・パウリとの交流を通じて量子力学のついての知識を深めていきました。
量子力学とは?
「量子」とは、原子やそれを形作る電子、陽子、中性子、さらに小さなニュートリノやクォークなど、私たちの暮らす世界とは異なる法則が働く粒子のことです。「量子」は私たちが普段クラス世界とは違う法則が働いていて、その法則を解き明かそうとするのが「量子力学」です。
ヴォルフガング・パウリはもともとユングのクライエントでしたが、のちにユングと共同研究するようになります。
実は、「量子」には「観測者がいると量子の振る舞いが変わる」という特徴があります。量子の世界は、日常の世界とは異なる法則で動いているのです。それは、「無意識が日常の世界とは違う法則で動いている」と考えるユング心理学と共通点があるものでした。
量子力学は、偶然同士を関連付ける観測者がいて初めて物事の意味が生じるシンクロニシティと通じるものがあるのです。
まとめ
シンクロニシティとは、心理学者のユングが1930年に発表した言葉で、「意味のある偶然の一致」のことです。「原因と結果が説明できないが、意味のある現象が同時におこるもの」のことを指します。
シンクロニシティは、現在の世の中で中心となっている「原因と結果の因果関係」という考えとは逆の概念です。「原因と結果」でものごとを見ても説明できない事柄がたくさんある現代社会に、ひとつの新しい視点をくれるものではないでしょうか。