ユング心理学のペルソナは、ちょっと違います。ペルソナは、人が社会に向けてつけている仮面のことをさします。本音とタテマエの「タテマエ」のようなものですね。
ペルソナは、社会で生きていくために必要なものです。しかし、ペルソナが自分自身と同じだと思ってしまうと、社会での地位=自分の価値と勘違いしてしまい、危険な状態になることもあります。ペルソナは本当の自分ではない、ということを理解することが大切です。
この記事では次のことがわかります。
- 初心者でもユング心理学のペルソナの意味がわかる!
- ペルソナに支配されない方法がわかる!
ペルソナとは社会に向けてつけている仮面のこと
ユング心理学でのペルソナとは、人が社会で生きていくためにつける仮面のことです。もともとのペルソナとは、古代ギリシアで役者が役を演じるときにつけていた仮面のことで、ユングはそこから名前をとりました。
私たちは生きていく上で、社会に適応していくことがもとめられます。社会の要請にこたえていくうちに、ペルソナという仮面をかぶって社会に求められる役割を演じようとします。
ペルソナはひとつというわけではなく、いくつかを使い分けていることが多いです。
ペルソナは、社会で生きていくために必要なものですが、ペルソナと自分を同一化してしまうと危険な状況になるとユングは考えました。ペルソナに支配されないためにはどうすればいいのか、一緒に考えていきましょう!
ペルソナのわかりやすい例
いい子ちゃんを演じてしまう
- 企業に勤めていて、上司の言うことをまじめにうけとり、仕事で成果をあげようと一生懸命がんばる。
- 家庭の母親として、家事育児を完璧にこなそうと、一生懸命やりすぎてしまう。
- 学校で勉強をしているが、いつもテストでいい点をとったり先生の言うことを聞かないといけないと思ってしまう。
破壊的な役を演じてしまう
- 誰かが助けてくれようとしても「いつも私は不幸だから」と拒否してしまう。
- 子どもがいうことを聞かないと、「母親としてしっかりしなければ」とつい怒りすぎてしまう。
- 先生や親に注意されると、いつも反抗的な態度になってしまう。
ペルソナと自分が一体化してしまうと危険になる
ユングは、ペルソナと自分が同じだと思ってしまうと、危険な状態になると考えました。
- 会社の偉い重役だった人が、偉い立場が自分の唯一のペルソナだと思ってしまい、定年退職後も家庭や地域で横柄な態度をとってしまう。
- 子育てを頑張ってきた母親が、母親としての立場が唯一のペルソナだと思ってしまい、子どもが成人しても世話を焼きすぎる。
- 仕事を頑張っているサラリーマンが、休日も仕事のことが頭を離れずうつ状態になってしまう。
どれも、社会的地位や役割=自分だと思いすぎて、それ以外の自分とのバランスがとれていない状態になってしまっていますね。
ペルソナは、あくまで自分の一部分ということを意識していきましょう。
ペルソナと自分が一体化しないためには?まずは自分のペルソナに気づこう
ペルソナと自分が一体化しないためには、まずは自分の今やっていることが「ペルソナ=役割」だと気づくことが大事です。
そして、ペルソナを大事にしすぎたために、影においやってしまったものを見つけてあげましょう。
ペルソナは夢に出てくることも多いので、自分の夢を分析してみるのもひとつのやり方です。
ペルソナは夢で、衣服、靴、帽子などで出てくる
ペルソナは夢に出てくるとき、衣服、靴、帽子などのかたちで出てきます。
ペルソナが合わないことを伝える夢
- 靴をはこうとしたが、ボロボロになっていた夢。
- なぜか、変な色で、自分に全然似合わない服を着ている夢。
他にも自分に合うペルソナを暗示する夢
- いつもは着ない服を着てみたら、想像以上に似合ってしっくりくる夢。
- ボロボロの帽子と新しい帽子を交換する夢。
夢に衣服や、靴、帽子などが出てきたら、自分のペルソナを見直すタイミングかもしれません。
夢にペルソナと思われるものが出てきたら、自分の影=「シャドウ」を見直すチャンスです。ユング心理学では、自分の中で受け入れがたい自分自身と向き合うことが、新しい自分を作るうえで大切だと考えます。
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まとめ
ユング心理学でのペルソナとは、人が社会で生きていくためにつける仮面のことでした。
ペルソナは社会で生きていく上で必要なものですが、自分自身と一体化してしまうと、危険な状態になります。社会的地位や役割=自分だと思いすぎて、それ以外の自分とのバランスがとれていない状態になってしまうのです。
ペルソナと自分が一体化しないためには、自分のペルソナに気づき、ペルソナは自分の一部だということを意識していきましょう。夢に出てくるペルソナからヒントをもらうのも大切です。