この記事を読むと次のことがわかります!
- ユング心理学に詳しくなくても「アニムス」の意味がわかる
- 女性が、自分の中の「アニムス」に気づいたら、どうすればいいのかがわかる
アニムスとは女性の心の中にある男性的な部分のこと
アニムスは、女性の心の中に無意識的にある男性的な部分のことで、心理学者ユングが提唱した元型のひとつです。アニムスは、女性の中にある魂のイメージで、「理性」の性質をとり、知識、真実、意味のある行動を求めます。
元型とは、人類全体が無意識に従っているこころの動きやパターンのことで、人生のある時期になると適切に立ち上がってきます。
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つまり、女性の中にはもともと男性的なものがあり、人生のフェーズごとにそのイメージが立ち上がってくるとユングは考えたのです。
女性が異性に惹かれるのは、相手にアニムスを投影しているから
アニムスは、女性にとっての理想の男性像でもあります。女性が感情的に「この人が好き」惹かれる男性は、実はその女性自身のアニムスが投影されたものなのです。
また、アニムスは女性の成長と共に変化していきます。年齢とともに惹かれる異性が変わっていくのは、このためです。
- 女性が幼いころ→父親のような存在
- 成熟した女性→力強い英雄のような男性
- 年を重ねた女性→精神性をそなえた、慰めを与えてくれる人物
女性の夢に出てくる男性は、女性のアニムスをあらわしている
夢の中で、アニムスは若い男性や老人、外国人など様々な姿となってあらわれます。人ではなく、抽象的な「国家」「哲学書」「新聞」など人間の姿ではなく人々の意見というかたちであらわれることもあります。
剣、木、ワシ、ライオン、牡牛などのかたちであらわれることもあります。
仕事を頑張っても女性がモテない理由は、アニムスと自分が一体化しているから
現代の女性は、自分のアニムスを発展させるむずかしさを抱えている
現代の合理的・客観的な思考を尊重する時代には、女性も男性的なものをもとめられがちです。仕事を男性のように頑張ったり、権力や地位が欲しいと思う機会が多くなっています。つまり、女性の中のアニムスが優位になりやすく、アニムスの問題が顕在化しやすい時代と言えます。
男女平等と言われて久しいですが、女性が男性とまったく同じにならなければならないというわけではありません。ユング心理学を知り、女性は女性として仕事をしたり社会に出たりすればいいと私は思うようになりました。
しかし、現代の女性は、男性側に合わせることをついどこかで求めてしまうところがあります。そんなときは、自分自身のアニムスに支配されてしまっているのです。
アニムスに目覚めていない女性は、男性からモテやすい
いっぽう、女性のなかには、アニムスにまったく気づかなかったり、完全に抑圧している人もいます。女性からみると個性がないため、どこがいいのかわからない女性だったりします。
アニムスに目覚めていない女性は、男性からのアニマ(男性の中にある女性的なもの)の投影にぴったりなため、多くの男性から愛されたりちやほやされたりします。
男性は、ペルソナ(社会的な仮面)として男性原理的な仕事や権力を目指すように求められることが多いです。特に人生の前半は、ペルソナの追求にほとんどの男性が時間をかけていることでしょう。そのため、若いうちはアニマが未開発なことが多く、どちらかというとアニマの要素が強い女性に惹かれてしまうのです。
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なぜ年を重ねると恋をしなくなるのか?
恋は、自分の中のまだ未分化な機能を、相手に投影することによって引き起こされます。
ユングがタイプ論で提唱している、「意識としてのペルソナ」と、「無意識的な魂のイメージ(アニマ・アニムス)」の組み合わせがあります。「意識としてのペルソナ」がどれかがわかると、それに対してどのような異性に惹かれるのか?がだいたいわかります。
意識としてのペルソナ | 無意識的な魂のイメージ(アニマ・アニムス) |
思考のペルソナ | 感情の魂のイメージ |
直観のペルソナ | 感覚の魂のイメージ |
感情のペルソナ | 思考の魂のイメージ |
感覚のペルソナ | 直観の魂のイメージ |
男性は生きている中で、思考のペルソナを求められることが多くなります。そうすると、相手の女性には「感情の魂のイメージ」を投影したくなります。しかし、女性が仕事をしすぎて「思考のペルソナ」が強くなると、男性は女性に「感情の魂のイメージ」を投影できなくなるため、なかなか「思考のペルソナ」の女性はモテにつながらないのです。
また、年齢を重ねると自己が発達していき、無意識の内容を自分に統合していくため、相手に投影をしなくなり、恋をしなくなっていく傾向にあります。
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アニムスに気づいたら、アニムスとの統合が大切
アニムスと一体化しすぎると、聞き分けのない女性になってしまう
女性は、魂のイメージであるアニムスと一体化しすぎると、黒い太陽(ソル・ニゲル)になってしまうとユングは考えました。
ソル・ニゲルとは、頑固で、情け容赦なく、傲慢で力に憧れ、あくまでも自説に固執する女性です。「○○すべきである」と頑固になってしまっているとき、女性は自分の中のアニムスに支配されすぎていないか気を付けてみましょう。
アニムスと統合するには、どうすればいいの?
アニムスと同一化してしまうのではなく、アニムスと統合していくことが大切です。つまり、自分の中に権力などを求める男性的なものがあると気づき、意識の中で認めていくということです。たとえば、アニムスの思い通りに仕事をやりすぎるのではなく、精神的な女性性の部分にも向き合い、バランスをとっていくことが大切になってきます。
まとめ
アニムスは、女性の心の中に無意識的にある男性的な部分のことで、心理学者ユングが提唱した元型のひとつです。アニムスは、女性の中にある魂のイメージで、「理性」の性質をとり、知識、真実、意味のある行動を求めます。
現代の女性は、自分のアニムスが優位になりやすく、アニムスの問題が顕在化しやすいといえます。
アニムスに気づいたら、アニムスと自分の統合していくことを目指し、自分の女性的な部分にも目を向けていくといいでしょう。
それは、男性にも言えることで、男性性を追求しすぎた人は、人生の後半で自分のアニマと統合するフェーズがやってきます。
男性にとっても、女性にとっても見過ごされがちな女性性について統合する大切さを、ユングは説いていたのです。